私は小学生相手に塾の先生をしています。
元々テレビをあまり見ないので、流行は基本子供たち発信で知ることになります。
何年前だったかな、唐突に生徒がこんなこと言い出したんです。
もう、すごくびっくりしました。
どうした、英語習い始めたの?
にしても、なんでそのフレーズなの?
1回目の時は「おー、◯◯くん英語しゃべれるなんてすごいやん。けど今算数やで」で流したんですが…
もう、このあとからめっちゃ言うんですよ。
「これ難しいな!」って感じたら、とりあえず「ワイ!?ジャパニーズピーポー!?」
ものすごく戸惑いました。
何が起きているんだ、と…
きみ、先週までふつうの日本人だったよね…?
しかもそのこ、「ワイ!?ジャパニーズピーポー!?」以外特に何もしゃべらないんです。
なんだ、なんかの流行り病にかかってしまったのか…!?
芸人さんのワンフレーズだと知ったのは、その一週間後。
なるほどねー、使い勝手がいい言葉だ。
ほんで「わからん!」の代わりに「ワイ!?ジャパニーズピーポー!?」って言ってるだけだから別に授業の邪魔にはならんという。
授業が始まる前、そのこに言いました。
「厚切りジェイソンっていう芸人さんのネタやったんやね。ごめんね、先生知らんかったわ」
そしたら満面の笑みで、
「ワイ!ジャパニーズピーポー!!!!」
なんだかよくわからないけど、信頼関係が厚くなった気がしました。
またあるときは、こんなことがありました。
とても大人しくて滅多に話しかけに来ない、いつもミニオンのTシャツを着た小柄な男の子が、授業後私の元にすすっとやってきたんです。
「先生、本能寺の変って知ってる…?」
いや、たしかに私は歴史が苦手だけど、これは流石に知っているぞ。
「知ってるよ、いきなりどうしたの?」
「あれ、ぼく好きなの」
「そーなんや!社会好きなんやね!」
「ううん、ちがう。すきなのは本能寺の変」
「…????」
「ユーチューブ見てみて。エグスプロージョン」
「???????」
家に帰ってさっそく調べました。
大人しいあの子が決死の?思いで話しかけてくれたんだから!
そりゃあ調べますよ!!!
そしたら出てきた、あのダンス動画。
ほーん、のーう、じ、の、へん♫
なんじゃこりゃあー!!!!
とりあえず10回くらいしっかり見ました。
そして次の授業日。
休憩時間にそのこに報告。
「◯◯くん!せんせー見たぞ!
ほーん、のーう、じ、の、へん!やね!」
パアアアアア!と明るくなるその子の顔。
そして食いつく他の子達。
もちろん、みんなで踊りましたよね。
休憩時間に一緒に遊んでいっぱい笑ったら、そのあとの授業はいつもより集中力二割増しになります。
なんなんだろう、あの一体感。
「厚切りジェイソン知ってくれた!この人は信用できる!」とか
「エグスプロージョン一緒に踊ってくれた!この人はいいひと!」とか
なんだかよくわからないものが、子どもたちの中にはあるんですかね。
「調べたぞ!先生、それもうわかるぞ!」って伝えた時の子供たちの笑顔、はち切れそうなくらい満面の笑みですからね。
これは1つ目の塾での話で、自社ビル持っててワンフロアにふた教室しかなくて、さらに隣の教室の休憩時間とこっちの休憩時間がピッタリ合ってたからできたこと。
今の塾は隣の教室と休憩時間がずれているので、休憩時間も静かにしていなければなりません。
「コソコソ声でしゃべるよ!できる!?
はい、コソコソー!
いや、それはガヤガヤー!やろ!
はいもっかい、コソコソー!」
こんな感じで乗り切ります。
乗り切れて…いるのか?
流行に敏感な子供たち。
いつも新しいことを教えてくれて、ありがとうね!