先日、塾の修了式に出席してきました。
学生時代から数えると、丸10年続けた塾の講師。
今年度、妊娠を機に退職しました。
社会人になってからは中学入試専門講師として理系科目を担当。
早稲田中学や西大和中学に進学するような子から四則混合で苦戦する子まで、幅広く見てきました。
塾の講師は「生徒を志望校に合格させるため」に存在します。
全ては生徒の成績を上げるために。
いくら楽しい授業ができても、いくら生徒から好かれていても、成績を上げられない講師じゃ意味がない。
成績向上は当たり前。
その上で極限まで楽しさを求めたのが私の授業でした。
結婚前後で二社の塾を経験しましたが、どちらの塾でも数百いる講師の中で塾生アンケート評価一桁順位だったので、ここはドヤらせてください。どや!
いやー、色んなことをやってきたなあ。
思い出した順に色々つづってもよいですかね。
たとえば、確認テストの前口上。
「今から確認テストやるよ〜!名前は絶対書き忘れないようにね!忘れた人は…マイナス1億5000万点!!!!」
数字を言った瞬間、バババババッと、子供たちの手が上がる。
「はい、〇〇さん!」
「地球から太陽までの距離!!1億5000万キロメートル!!!」
「せいかーい!!!」
前回学習した内容を、ここで一度復習してもらってました。
理科で学んだことを、数日後の算数の確認テスト前にもう一度チェックする。
暗記は短いスパンで繰り返すのが1番定着しますからね。
直前の理科から出題されるから、範囲がせまい。
おもしろい雰囲気さえ作ってあげれば(これは私のおはこ)、子供たちは全力で取り組んでくれます。
クイズにかかる時間はおよそ1分。
なんともコスパのいい取り組みです。
このクイズ、だいたい即答されてすぐにテストへ移行するんですけど、一度だけクラスがどよめいたことがありました。
「今日名前書き忘れた人は〜マイナス6点!!!」
「えっ、6…?」
「6って何…?」
ざわざわ
6点だったら名前書き忘れてもあんまり困らないね!みたいな声があがらないのが訓練されている証拠。笑
「アブラナの、おしべの数…?」
「そうね!あってる!でもそれだけじゃないね!」
どよめく教室
なかなか答えが出てこない。
そんな中、静かにすっと手をあげたのは一番大人しい男の子でした。
「アブラナと、イネの、おしべの数」
「せいかーい!!!!〇〇くんすごい!みんな拍手〜!!!」
「おおおおおー!!!!」
このときの彼の笑顔、忘れられないなあ〜
みんなの全力の拍手。
羨望の眼差し。
照れ笑いする男の子。
翌週から、授業前の教室の雰囲気がガラリと変わりました。
雑談してる子など一人もいない。
みんな目を皿にしてテキストをチェックしている。
「今日は何が出るかな!?」
「せんせーいじわるだから、宿題に出てた数字からも出してくるよ!」
「いじわるだからね!!!見とかなきゃ!!!」
廊下まで聞こえる楽しそうな声。
戸をガラガラっと引いて、私は言うのです。
「ふははははー!!!いじわるなせんせーが来たぞー!!!さあ、今日も確認テストだー!」
「いやー!!まって!」
「もうちょっと!もうちょっとだけ!!!」
このクイズで一番盛り上がるのは「25」と言った時ですね。
「えーっと、メダカの卵が最短で孵化するときの水温が25℃でしょ、最高気温25℃以上が夏日でしょ、夜の最低気温が25℃以上で熱帯夜!!!」
これね、三つ答えられないと解答権が移るんですよ。
なんていじわる。
いじわるといえば、私、授業内で実施する確認テストは「漢字で習ったものは漢字で書かないとバツ」という鬼ルールをしいてました。
「なんでやー!塾全体のテストだったらひらがなでも丸もらえるやん!なんでせんせーのテストだけ漢字じゃないとだめなん!?」
「ふははははー!!!それは、せんせーが鬼だからだ!残念だったな!!!!」
「鬼!あくまーーーー!!!」
このままだと本気で不満に思うこもいるので、一応ちゃんとした説明もします。
「入試問題、見たことある?漢字で書きなさいって言われることがあるんよ。
4年生5年生のころは確かにひらがなでもテストで丸がもらえるけど、6年生になったらいきなり漢字で書け!とか言われ出すよ。
そのときひらがなで勉強してた子は一気に点数が下がる。もう一度覚えなおさないといけないからね。元から漢字で覚えてた子とぐっと差がついちゃう。
せんせーはこれが嫌なんよ。愛する君たちに、そんな風になってほしくない。いい点数をずっとずっと取り続けてほしい!だからせんせーは今日も鬼なのだ!残念だったな!!!ふははははーーー!!!
宿題でもひらがなで書いてたら書き直しやぞ!ふははははー!!!!」
まあ、結局、鬼なんですけど。
30人オーバーのクラスで、わざわざ一人一人書き直しさせるとかめっちゃくちゃ、もうめっちゃくちゃ、面倒です。
休憩時間なんて10分あるかないかですから。
毎回なんてとてもじゃないけどやってられません。
だから最初の1ヶ月が肝心。
忠告したにも関わらずひらがなを使ってきた子がいた場合、とっても大袈裟な行動をとります。
教室に入って、無言で遠くからその子を見つめる。
ちょっとふざけた感じに顔を作って。
そうしたら、周りの子がざわつきはじめます。
「せんせーが変な顔で〇〇見てる!」
「〇〇何したんや!」
「あ!あれちゃう?ひらがな書いたんちゃう!?」
ここで無言でうなずく私。
「あーー!!〇〇ひらがなやったんやー!」
恥ずかしそうにする本人。
ノートを差し出す私。
ひらがなで書いたところに印がつけられ、漢字に書き直すスペースが設けられている。
「はい、はい、すみません、もうしません、すぐ書きます!!!」
その子が書いている間、横に立って大きくゆっくりと頷き続けます。
終わったら赤ペンで花丸をつけてニッコリと笑い、その場をさります。
ここまでずっと無言。
教室爆笑。
これで2ヶ月目にはひらがなで書いてくる子ゼロになりますね。
全員の前で指摘することには賛否両論ありますが、私は条件を守った上で行う分にはアリだと思います。
事前に「〇〇してはいけない」と耳にタコができるほど伝えておくこと(クラスの一人一人が100%「聞いた」と言うくらい、繰り返す)。
そのルールは誰もが簡単に守れることであること。
そして「〇〇したら△△してもらう」というペナルティを明確にしておくこと。
最後に、ルール違反をした場合、お調子者であろうが大人しい子であろうが、みな平等にペナルティを与えること。
この4点を守った上で言うのなら、アリ。
あれ、気付けば文字数がえらいことに…
二個しか書いてないのになあ。
思い出がとまりませんね。
次に講師として戻ることができるのは早くて10年後でしょうか。
10年…10年かあ…
少しずつ書き出して、気持ちを落ち着かせようと思います。笑
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