子どもから「なんのために勉強しないといけないの?」と言われたとき、なんと答えますか?
職業柄、ちょくちょくこの質問を受けます。
たいてい「将来なりたいものができたときに、なれる可能性を広げておくためだよ」って返します。
でも最近、「選択肢を広げるために勉強しろなんて、納得できない!」という意見を耳にしました。
なんだったかなー、何かの番組だったかな?
みなさんは、子どもからこの質問されたとき、どう答えるんでしょう。
「なりたいもの特にないしなー」そんな言葉が返ってきたら、続けてこう話します。
「苦手だな、嫌いだな、って感じたその先に、大好きが待ってたりするんよ。それは頑張って苦手を克服したひとにしかたどり着けん神の領域なんよ。あれはたまらんぞ〜。○○さんにも体験してほしいな、だから勉強続けてほしい。何に興味を持つかなんて、続けてみんとわからんよ」
実際私は理科大嫌いでした。
メダカのひれの名前を覚えたから何になるんだ。
はじめに出てくる葉っぱが1枚なのは単子葉、うん、だからなんなんだ。
点と点を結んで「ハイ、こいぬ座!」って、なめてんのか!
…ぐらい思ってました。
高校2年あたりまで、あまり好きではなかったです。
高校生物なんか覚えることだらけで、だからそれを覚えて何になるんや!!!って半ばキレながらテスト勉強してました。
内容にはかけらも興味関心はないけども、テストで満点取るためのゲーム、みたいに思ってやってました。
けれど高2、ここで私に衝撃が走るのです。
有機化学!
高分子化合物!!!
なにこれなにこれ、めっちゃ面白いんですけどーーー!!!!
ビビビ、ビニロンの合成経路!?
ビニロンってこーやって作るの!!??
うっひょーーー!!!
おもしろ!!!やば!!なんやこれ!!!
キレイに考えられてるなー!!!!
うっひゃーーーー!!!!
いやもう変態ですよ。
あのときの私はもう完全に変態でした。
変態を極めてました。
ビニロンの合成経路が好きすぎて、何度ノートに書きなぐったかわかりません。
高校の休憩時間、ニヤニヤしながらノートに書いてたら、流石にキモイと言われました。
でもそれくらい魅せられたんです。
美しさを感じました。
受験勉強をしていたころ、高分子化合物の問題はもはやオアシスと化し、
「あー、疲れたな。休憩しよう、よし、有機の過去問解こう。へへへ…」
そんな状態になってました。
(私の仲良い友達も同じことを言ってたので、こんな変態は意外と受験生に少なくないのだと思います)
(…類が友を呼んでいただけかもしれません。いや、その説が濃厚か?)
でもこれって、小学生のときに「理科きらい!やりたくない!」で向き合わなくなってたら、得られなかった喜びなんですよね。
中学生のときの「化学反応式ってきらい!なんでこんなの覚えなきゃいけないの!」
高校1年生のときの「モル計算とか滅びてしまええええ」
これらをなんやかんや乗り越えたから、得られた喜び。
この内から湧き起こる知的な喜び的なものを、ぜひとも子供達にも体感してもらいたいなと思って、日々授業しています。
まあ点と点を結んで「ハイ、こいぬ座!」はどうしようもないんですけど。
「いいですか!みなさんはこれからこの点と点を結んだ線がこいぬにしか見えなくなります!せんせーは子供の時かけらもこいぬに見えなかったけど、君たちは見えるようになります!
こいぬこいぬこいぬこいぬこいぬ…ハイ、こいぬ座!」
「せんせー!ぜんぜんこいぬに見えません!」
「うそやろ!この点と点をじっと見るんや!見たか!?見たな!?ハイ、こいぬこいぬこいぬこいぬ…」
「せんせー!呪いに聞こえてきます!」
「呪いでもなんでもいい、こいぬに見えたらそれでいい!さあみんなも一緒に!こいぬこいぬこいぬ…」
序盤は無理矢理にでも楽しみながら乗り切るしかないですね。
知的な楽しさは、その先に。