この週末、祖母の家へ行ってきた。
新幹線に乗って、普通列車に乗って。
海を30分ほど眺めたら、最寄駅に着く。
祖母の家は山の上にある。
最寄り駅からタクシーに乗って20分。
もしくは、バスに15分乗って、そこから歩く。
でこぼこな石の階段を100段以上登ったら、到着。
祖母は車を持っていないから、スーパーに行くときは毎回この階段を使う。
友達の家へ行くときも、街に出るときも、いつでも。
家はとても古い。
玄関は引き戸。
ガラガラーっと横に引いたら開く。
二階のトイレは和式だ。
工事をしたので、一応水洗。
玄関を入ったら、部屋はふたつ。
板の間と、たたみの間。
とんでもなく急傾斜な階段を登れば、二階にもうふた部屋ある。
洗濯機は20年前に二層式から新しいものに変わった。
地震をきっかけにリフォームして、お風呂は保温ができるようになった。
そんな古めかしいおうちだけど、うちのばあちゃんたらすごいんだ。
夫いわく、「町屋風おしゃれカフェ」
いや、ほんまに。
パッチワークが趣味で、そこかしこに作品が飾ってある。
最近は着物の帯を仕立て直すのにはまっているらしい。
植物を育てるのも趣味で、色んなお花や観葉植物が飾ってある。
おしゃれな陶器の花瓶がまたイカしてる。
お昼に寄ったので、ばあちゃんはお昼ご飯を準備してくれていた。
「◯◯ちゃん、準備手伝ってくれるかいね?」
そう言われて狭い狭い台所に行った。
人が一人がギリギリ入れる程度のキッチンに、ばあちゃんと二人。
高校生のころ、よく手伝ってたなあと懐かしく感じていたら、ばあちゃんが一言。
「そこのね、クレソン。クレソンとってくれる?お肉にのせよ思おんよ」
お気づきだろうか。
このばあちゃん、イマドキおしゃれ女子なのである。
御歳79歳だ。
私がモッツァレラチーズを初めて食べたのは、このばあちゃん家である。
ふつうに朝ごはんに出てきてびっくりした。
DVDのことはデーブイデーと言うのに、モッツァレラチーズは余裕で言えている。
ばあちゃん家のサラダはレタスやキャベツじゃない。
なにやらよくわからない、おしゃれな葉っぱ。
色んな種類の葉っぱのベビーリーフだそうだ。
ルッコラだけは、名前がわかるようになった。
ばあちゃんの家は古いし狭い。
だけど私はばあちゃん家が大好きだ。
掃除が行き届いていて、いつだって片付いている。
なにかの空き箱やなにかの空きビンに、細々としたものがきちんと片付けられている。
テーブルの上に不要なものはなにもない。
窓という窓をすべて開けて一日中換気してるから、部屋の中が心地いい。
私はばあちゃんのようになりたい。
心地のいい空間を作りたい。
家事、こつこつがんばるぞ。
千里の道も一歩から。
ばあちゃんへの道も続いているはず。
スーパーからの帰り道、崖から転落して骨折。
その後自力で崖から這い上がり、いつもの100段超の石階段を登ったばあちゃん。
たしか、アラウンドセブンティーのころだ。
その気力たるや、もはやバケモンである。
腰は曲がってるし、小柄だけど、うちのばあちゃんは最強だ。